軍の階級

      2016/04/05

 軍組織においては、その命令指揮系統を統率するために通常は階級を必要とする(一時期のソ連など稀に階級が廃止された例はある)。この階級は、時代の変遷や国組織の在り方で大きく異なっていたが、現代的国家の軍では呼称の違いこそあれ多くの国で似たような階級制度を取っていることが多い。
 しかしながらほぼ共通していることに、指揮官級とそれに従う実戦戦闘員という二種類に分けることができる(ステレオタイプ的な呼称では「将兵」と総称できる)。現代的には指揮官級は将官、佐官、尉官の将校、戦闘員は下士官、兵卒の兵員、の二種類と言うことができる。
 ここでは各国、各時代の軍の階級呼称と、簡易にその任務を列挙する。なお各国の階級に、現在のNATO軍での階級符合を比定して併記する。

日本 大日本帝国陸軍/海軍
自衛隊
江戸期以前の官制における軍関連の官位
ドイツ ドイツ連邦軍陸軍/海軍/陸海軍以外の軍
国家人民軍
ドイツ国防軍/ナチス親衛隊
イギリス 陸軍/海軍/空軍/海兵隊
アメリカ 陸軍/海軍/空軍/海兵隊
フランス 陸軍/海軍/空軍/憲兵隊
中国 人民解放軍
清代以前の官制における軍関連の官位
中華民国 中華民国軍
ロシア ロシア連邦陸軍/海軍
ソ連陸軍/海軍/陸海軍以外の軍
NATO軍 階級符号

 日本

大日本帝国陸軍/海軍

 旧日本軍は兵部省がおかれた明治二年から、旧日本軍解体までの基本的な階級が作られた。ここでは、旧日本軍解体時に制定されていた階級を基に記述する。

 将官
大元帥 OF-10 大日本帝国軍における大元帥とは、大日本帝国軍の最高司令官たる天皇を表す尊称であり、厳密には階級とは言えない(ただし兵部省設置初期においてのみ大元帥の地位に関する記述があり、天皇以外がその地位に就く可能性を考慮していた可能性はある)。史上、この呼称が使われたのは明治天皇、大正天皇、昭和天皇のみである。
元帥 OF-10 日本軍における元帥は、兵部省開設当初は大将の上の階級として西郷隆盛がその職に就いたが、後の改正で元帥階級は無くなった。その後、大将の中から元帥府に列する天皇への終身顧問職として元帥号が復活した。そのため、旧軍において通常は元帥とは階級ではなく称号であると言え、軍の階級では大将であった。
大将 OF-9 中将において、一定の条件(任官の年限及び三長官などの要職に就いた経歴など)を満たした者が任命された軍における実質的な最高位。なお、中将・少将を含めた将官は陸軍では「将軍」、海軍では「提督」と通称された。
中将 OF-8 陸軍においては師団長(師団は2個旅団4個連隊→のちに3個連隊から構成される。連隊は3個大隊、大隊は4個中隊、中隊は4個程度の小隊からなる。小隊は2個または3個分隊、50~60人の兵からなる)もしくは軍司令官、海軍においては艦隊司令長官(1個艦隊は4個戦隊前後からなる。戦隊は戦艦や巡洋艦、駆逐艦などの戦隊に分かれる)にあたる将官である。陸軍における師団長は天皇に親任され、天皇においてのみ責任を負う非常に高い地位である。陸軍には総司令官的な立場の職が無かったため、展開する方面の作戦において完全に責任を負うため、内政における首相に匹敵する地位の職と言えた。海軍の艦隊司令も同様に親任官である。なお旧海軍では「ちゅうしょう」と称する。
少将 OF-7 陸軍においては旅団長、軍参謀長、参謀本部部長級などに、海軍においては戦隊指令、艦隊参謀長、軍令部部長級などに補せられた。なお陸軍では、兵科においては少将が最高位でこれより上には昇進できない。
 佐官
大佐 OF-5 陸軍においては連隊長、海軍において大型艦艇(戦艦、巡洋艦、航空母艦等)艦長または隊司令が任ぜられる。なお海軍では「だいさ」と称した。
中尉 OF-1 陸軍においては大隊長もしくは副連隊長、海軍においては大型艦艇副長もしくはそれ以外の艦艇の艦長が任ぜられた。
少佐 OF-3 陸軍においては大隊長もしくは中隊長、海軍においては軍艦艇副長、分隊長、艇長、潜水艦艦長が任ぜられた。なお佐官以上は戦闘指揮官の立場であるため、尉官から昇進する者にとって戦闘指揮の特別教育を義務付けられ、昇進には一定以上の能力を求められた。
 尉官
大尉 OF-2 陸軍では中隊長、海軍では分隊長が任ぜられた。海軍においては「だいい」と称する。
中尉 OF-1 陸軍では中隊長もしくは小隊長、海軍では艦艇での航海士等の航行・戦術上の重要な任務の士官に任ぜられた。
少尉 OF-1 陸軍では連隊もしくは中隊付参謀等、もしくは小隊長、海軍では分隊補佐、もしくは乗組士官として任ぜられた。少尉以上の尉官には基本的に士官候補生が昇進でき、下士官から尉官以上に昇進するためには曹長から特別に推薦や年次の条件をクリアして初めて昇進できた。
 准士官
准尉/兵曹長(准士官)及び少尉候補生(士官候補生) OR-9 または OF(D)  旧陸軍では准尉と呼称されるものが准士官待遇、海軍では兵曹長が准士官待遇となる。准士官はあくまで下士官であって、少尉以上の士官とは分けられるが、服装や帯刀、給与などは尉官と同様の特権があった。
 陸軍准尉は兵科や後方部署下士官の最高位たる曹長の中においてさらに特別な存在であり、歩兵、工兵、砲兵などの先任曹長、特務曹長や、工長、看護長、軍楽部楽長補などが准尉となった。特に兵科では部隊の人事掛を務めることが多く、人事の特さん、などと呼称されて恐れられたことは有名である。海軍兵曹長もほぼ同様で、兵科及び後方部署の上等兵曹の中で年次による先任者や士官志望者などが任ぜられた。
 なお、旧日本軍では上述のとおり准士官はあくまで下士官である。この中で曹長や准尉に対する士官昇進希望者を人選する士官候補生制度はあり、この少尉候補生と言われた階級がOF(D)に比定できるものと言える。少尉候補生は准士官より上の待遇となったが、特別な階級呼称は無かった。
特務大尉 WO-5 ・特務中尉 WO-4 ・特務少尉 WO-3  旧海軍で昭和17年以前に存在した階級であり、純粋な士官ではないが、技術職掌が強く重視された海軍において下士官・兵卒が特に習熟すべき技能を有している者(基本的に兵曹長)を、退役年限で退役させずに特務士官に任じて継続して雇用するがあった。
 エリート意識の強い士官から反発が強いため、士官よりは下の地位(少尉より下、兵曹長より上)とされたが、権限は兵曹長と同じく士官と同じとされた。また大尉・中尉・少尉の階級差は主に給与額の差だった。
 昭和17年以降は特務○尉という階級は無くなり、尉官同様に大尉・中尉・少尉と称されるようになったが、特務士官という地位は残されて、士官である尉官とは厳然と差がつけられた。なお旧陸軍では同様の階級は存在しない。
 下士官
曹長/上等兵曹 OR-7  旧陸軍では曹長、海軍では上等兵曹と呼称する。陸軍における曹長は准尉や特務曹長と並んで下士官では最高階級であるが、基本的には中隊付きなどでの庶務担当者であり、戦時でも隊の後方庶務を担当し、兵卒とのつながりは薄い職位といえた。
なお旧海軍では多少趣を異にし、下士官は所属する艦艇や部署の規模によって振り分けられ陸軍における曹長、軍曹、伍長ほどイメージできるようなはっきりした職掌は無かったと言える。大きな違いは給与待遇であり、階級が上であるほど副長や隊付きなどの職務を負った。以下一等兵曹、二等兵曹は軍曹、伍長に準ずる階級で職務は上記のとおりである。
軍曹/一等兵曹 OR-6  旧陸軍における軍曹は、特に兵科においては主に分隊長に任ぜられることが多く、また教練役としても機能したため、いわゆる鬼軍曹という言葉が残るほど兵卒にとっては最も近い位置に存在する上官として絶対的な存在だったと言える。後方部署では兵器掛、炊事掛、被服掛など、また事務助手として曹長の下で事務を担当した。軍曹は職務としては重く且つ、判任官であり勤続年数で叙勲もされる低くない地位の職業軍人だったものの、給与水準は決して高くなく、更に低学歴者でも就けた職務であることから除隊後の再就職もままならなかったため、一定数は再志願して長期に勤務した。このことから古参の職業軍人が多く、現代における軍曹のイメージが定着した原因となった。
旧海軍における一等兵曹は陸軍軍曹と異なり上等兵曹の項で述べたとおりである。
伍長/二等兵曹 OR-5  旧陸軍における伍長は、下士官の中での最下位の階級であり、職掌は分隊長や分隊副長、隊付、更に先任者は士官、曹長級の職務代行などで、伍長以上をいわゆる職業軍人と称する。伍長以上は階級呼称であると同時に職務呼称でもあり、兵長以下の兵卒の階級が単なる軍隊における序列を示す呼称であるのとは一線を画すものだった。伍長(=職業軍人)になるためには、主に二通りあり、兵卒から昇進するためには上等兵特別教育を受けて修了し適任と判断された後、更に陸軍教導学校で下士官教育を修了する必要があった。また士官候補生は予科修了時点での最初の任官が伍長であり、半年の実地訓練を義務付けられていた。旧海軍では兵卒から二等兵曹に進級するためには、特に実務に何らかの職掌を持っている必要があり、術科学校を終了する必要があった。
兵曹や伍長はこれより下の兵卒と下士官である伍長とは階級の差以上に大きな差があり、下士官と士官の違いほど大きな違いがあった。
 兵卒
兵長/水平長 OR-4
 兵卒では最上級の階級だが、初期には無い階級だった。旧陸軍においては、特に戦地において二等兵がほとんどおらず、一等兵や上等兵の数が増えて、伍長以上の統率者不足の状況に伴って設置された階級である。上等兵のうち先任者や、応召兵で一等兵、上等兵の中から相当とされた人物が昇級した。
旧海軍では陸軍と違い、もともと一等水兵と呼ばれていたものを改称したもので、上等兵の中から選抜された存在で、選抜者に入るためには通常は普通科練習生修了者が対象であり徴兵者が進級することは難しかった。
上等兵 OR-3  旧陸軍においては、入営後4か月程度で選抜されたものが上等兵候補者となった。候補者となると上等兵候補者特別教育を受けて数か月から2年程度経過すると上等兵になることができた。上等兵になれるのは中隊で3~4人程度であり、大変な名誉であった。しかしながら、兵卒にとっては、実質的に士官業務を遂行する兵長を除いて、二等兵、一等兵、上等兵には階級意識はほとんどなく、上記の通り年次が低い者でも昇級することができたため、古参の一等兵などには相変わらず敬語で接したり、時には古参兵から体罰を受けるようなこともあった。
旧海軍では陸軍と違い、単純に勤続年数で進級することができ、大抵の場合一等兵1年勤続後に進級することができた。
一等兵 OR-2  旧陸軍においては、入営半年後の検閲においてほぼ自動的に一等兵に昇級した。上記の通り、上等兵に昇進できない物も多数おり、古参の一等兵は年次の低い者からは揶揄される存在だった。
旧海軍では陸軍と違い、入営後海兵団教育を修了したものが一等兵となった。
二等兵 OR-3  旧日本軍においての最下級の階級。入営後の新兵は士官候補生でない限り、基本的に自動的に二等兵となった。陸軍では半年間の教練の後余程の問題が無ければ通常は一等兵へ昇級し、海軍では海兵団での教育中の者が二等兵であり、終了後は一等兵として着任することとなった。
旧日本軍は承知の通り徴兵制であるため、士官候補者や志願兵でない限り基本的にほとんどの者が上等兵までの兵卒で兵隊を出ることになる。

自衛隊

 日本国においては、自衛隊は憲法上の規定により法的にはあくまで対外護衛警察力であって軍ではないとされているが、国際的には実質的には国家の所持する軍事武力組織であって、日本国軍と認識されている。
 ここでは現在設置されている階級を示す。

 将官
統合幕僚長 OF-9
 自衛隊武官においては最高位の位で、軍参謀本部長にあたる職務である。以前の呼称である統合幕僚会議議長時代より陸上、海上、航空の各自衛隊の陸海空将からほぼ万遍なく持ち回りで選出されている。
統合幕僚長は自衛隊の階級としてはあくまで将であるものの、各幕僚長と同様に権限は厳然と分けられて、NATO階級符号においては大将扱いであるOF-9が用いられている。
統合幕僚長は自衛隊の武力組織としてのヘッドクォーターである統合幕僚本部を統括する文字通り現場での最高司令官である。
なお、日本国は文民政策をとる法治国家であることから、自衛隊の最高司令官はあくまで内閣総理大臣であり、実務的最高司令官は防衛大臣である。これらを現場の統合的立場として最高指揮をとるのが統合幕僚長である。
陸上/海上/航空幕僚長 OF-9  陸上、海上、航空各自衛隊の各幕僚監部の長であり、各自衛隊の作戦指揮における最高権威者である。
階級としてはいずれも陸・海・空将であるが、統合幕僚長と同様、実際にはこれら各将とは階級が分けられており、NATO階級符号では大将扱いのOF-9となる。各幕僚長は当然ながら各自衛隊において1名のみであり、自衛隊では大将待遇の将官は4名しか存在しないことになる。各自衛隊における専門的な助言を直接的に防衛大臣や総理大臣に与える権限も持つ。
幕僚長に昇進するために必要なことは定まっておらず、現在は長きにわたる平時でもあるため、昇進には卒業年次や学閥、更には前任者のスキャンダルによる任期途中での辞任などが絡み、官僚的な要因が必要であると言える。
陸将/海将/空将 OF-8  統合幕僚長、幕僚長で記した通り、自衛隊の武官における階級としての最高位はあくまで陸海空の各将である。NATO階級符号ではOF-8が与えられ、中将待遇となる。
自衛隊における各将は、方面総監、師団長、各艦隊司令、航空総隊・方面隊指令、自衛隊各学校校長、各情報本部長、統合幕僚副長などが充てられる。ただし同じ将であったとしても実際には給与面において内規で差がつけられており、将の中でも実質的な序列は存在する。
各将補も含めた将官に任ぜられるためには、一佐から選抜を経て初めて任官できる。将官に任ぜられるためには、一佐までのように自衛隊内部だけでは人事権が無く、防衛省内での文民官僚による選抜後、閣議での承認作業が必要であり、単純な本人の勤務態度や試験などだけでは昇進することができない。
なお陸将27名、海・空将が27名定員と定められている。
陸将補/海将補/空将補 OF-7  NATO階級符号ではOF-7、少将待遇の将官である。
各将補は主に、幕僚監部各部長、旅団長、艦隊司令部幕僚長、航空方面隊副司令官など、各自衛隊重要部署の長が任ぜられる。また、各将同様に将補の中でも給与格差は存在しており、大きく二段階に分けられ将補(一)、将補(二)と称され、重要部署は(一)となる。なお、将を以て充てる職に、将補を充てることが可能である。
将補に昇進するためには、将の項で述べたとおり自衛隊内部だけでは昇進を決定できず文官による承認が必要である。
また佐官での昇進には必須ではないCSやCGSと言われる指揮幕僚課程とTACと言われる技術高級課程の修了が必須で、更に幹部学校高級課程、統合幕僚学校、防衛研究所一般課程、同盟国の同種の学校の修了のいずれかを修了する必要がある。
なお陸将補は103名、海将補は51名、空将補は50名と定員が定められている。
名称から錯誤されることがあるが将補は上記の通り少将待遇であり、各国に存在する准将相当階級ではない。同盟各国との任官階級を合致させるために准将待遇士官を設置する議論が2007年頃にあったが、現状は立ち消えになっている。
 佐官

以下の項では○等陸△/海△/空△を同様に、全て「○△」の略称のみで示す。なお略称の際、数字部分は算用数字を使用するのが慣例である。

1佐 OF-5/OF-6  1佐は自衛隊における佐官最高位で、且つ自衛隊内部の評価のみで人事昇進できる最高位である。NATO階級符号はOF-5で大佐待遇であるが、一部の職務では准将待遇のOF-6が補せられる。
主な職務としては幕僚監部課長職、地方協力本部長、防衛駐在官、連隊長、部隊長、旅団幕僚長などが任ぜられる。また給与待遇によって3段階に分けられている。この3段階に分けられているうち、1佐(一)の指定職と言われる職に就く者はNATOの他国の階級との符合の必要上、大佐相当では無く准将相当の佐官とされ、それに伴う准将標識も指定されている。
1佐に昇進するためには、幹部候補生であればCSやCGSと呼ばれる指揮幕僚過程の試験を受験して合格した者のうち年次や功績によって1佐まで昇進出来る可能性がある。また幹部候補生ほど昇進の可能性は高くないが、叩き上げでも2尉以上の者であれば指揮幕僚過程や幹部上級課程、幹部特別課程など推薦によって行われる課程に入ることができ、これを修了して認められれば昇進できる。なお1佐と2佐では大きく昇進に壁があり、1佐まで昇進できるのは士官のうち1割程度でと言われ、1佐以上が武官では高級幹部と認識される。
2佐 OF-4  2佐はNATO階級符号ではOF-4であり、中佐待遇の士官である。
主な職務は副連隊長や大隊長、支処長の多くに任ぜられる。
2佐に昇進するのはCSやCGS修了者であればさほど難しくはなく、ほぼ年次によって昇進が可能で、逆に多くの幹部士官は2佐で除隊・定年を迎えることになる。なお海上自衛隊において艦艇の艦長となるためには2佐以上の階級が必要である。
3佐 OF-3  3佐はNATO階級符号ではOF-3であり、少佐待遇の士官である。
主な職務は副大隊長、中隊長クラスとなる。
3佐への昇進のためには、1尉がCS、CGS課程の試験を受けて合格すれば自動的に昇進できる。幹部候補生の場合は、試験に合格できなくとも年次によって3佐への昇進はほぼ間違いなく可能である。叩き上げの場合はほとんどの者が3佐止まりで、2佐に昇進できるものは極まれである。
 尉官
1尉 OF-2  1尉はNATO階級符号ではOF-2であり、大尉待遇士官である。
主な職務は中隊長、副中隊長、上級部隊幕僚等となる。1尉への昇進には、幹部候補生であれば候補生課程を修了と同時に任官されるのが1尉である。2尉以下の、補士などから入隊した者であっても曹まで昇進出来れば4年程度で尉官への昇進課程へ進むことができ、試験に合格できれば1尉以上へも任官できる。
2尉 OF-1  2尉はNATO階級符号ではOF-1であり、中尉待遇士官である。
主な職務は小隊長や副中隊長、高級専門職などである。1尉の項で記した通り、幹部候補生であれば候補生課程の時点で横並びに昇進が可能である。叩き上げでも相当な難関ではあるが昇進課程と試験の合格によって昇進が可能である。
なお、所謂特技兵と呼ばれる即戦力として中途採用される公募幹部は2尉以上での採用となる。
3尉 OF-1  3尉はNATO階級符号では2尉と同じくOF-1であり、少尉待遇士官となる。
主な職務は兵科での小隊長や、本部付の幹部職などに充てられる。
3尉は1尉、2尉の項に記した通り、幹部候補生が課程を進めて後2年程度でほぼ横並びに全員が3尉に任官される。叩き上げの場合は幹部昇進課程に進めれば同様であり、更にこれ以外に曹長もしくは准尉の者のうち選抜された者がいわゆる3尉候補生課程と呼ばれる過程に進む場合もありこの場合は12週程度の教育の後に3尉に昇進できる。
 下士官
准陸尉/准海尉/准空尉 OR-9  自衛隊の准陸尉/准海尉/准空尉はNATO階級符号ではOR-9であり、下士官待遇の准尉相当の階級である。
准尉の主な職務は陸自や空自では小隊長や、陸自では先任上級曹長、空自では准曹士先任と呼ばれる隊内における幹部を補佐して下士官の統率、教練的立場に就く。先任上級曹長の場合は幹部が不足する場合は准尉を充てる場合がある。また統幕監部で最先任下士官職に就く場合もある。ただし准海尉のみ陸空と内容を異にしており、基本的に技術職であり高い専門性を持つ者で、その分野において幹部を補佐する役職として存在している。陸自の先任上級曹長とほぼ同様の職務である先任伍長職は海曹長などが就く職であり、准海尉が就くことは無い。
なお、自衛隊における准尉は旧日本軍と同様にあくまで下士官である。そのため准尉に昇進する者は、幹部候補生課程などには進んでいない者が、部内で最先任であったり技術的に重要な位置にいる者となる。
 曹士
陸曹長/海曹長/空曹長 OR-8 自衛隊の陸曹長/海曹長/空曹長はNATO階級符号ではOR-8であり、曹長待遇の階級である。
1曹
2曹
3曹
士長
1士
2士

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