銀河英雄伝説(徳間書店版アニメ)の端役での出演者・第一期

      2016/05/27

本項では、田中芳樹の同名の原作を1988年から2000年の間に全110話に渡ってキティ・フィルム(4期からは同社から独立したケイ・ファクトリー)が田原正利プロデューサーの元で、徳間書店協力で一貫して制作し、アニメ総監督をアートランド代表の石黒昇が務めたOVA作品「銀河英雄伝説」に、レギュラーでは無く端役やゲスト的にスポットで出演した声優を紹介する。

徳間書店版OVAでは、大量の登場人物に対して多数の声優(特に男性)がほぼ一人一役で出演しており同年代に活躍した声優が網羅されていることから、ネット上などで”銀河声優伝説”などとも通称されており、同時期にどのような人物が活躍していたのかを確認するに興味深い。
一方では、90年代の段階ではいまだ黎明期、下積み期にあった現在活躍の著しい声優や、意外な人物が端役で出演していることも確認できる。また物語の性質上女性声優の出演が非常に少ない同作だが、スポット的に出演した女性声優は多い。

紹介は声優の名前と登場回、役名、簡単な役回りを列挙する。
※なお本項では同作と同時期に同スタッフで制作された劇場版/外伝作品については取り上げない。

 第一期(1話~26話)

1期1クール目は、特に帝国や同盟の情勢を1話完結で示したもの(5話、13話、14話など)が多く、スポット的な役回りが必然的に多くなった。これらの回ではメインの主要な人物はほぼ登場せず、スポットの登場人物が実質的に主役となったため、1話のみとは言えどもその演技は心に残るものが多い。また、本作のごく初期であるため、物語の背景や雰囲気をナレーションでは無く現場で説明する為に、チョイ役の兵卒、民衆の役が多く、これらの中にその後有名になった声優が含まれている。本作で一貫してナレーターを務めた屋良有作は帝国側でも同盟側でも数回にわたって下士官や兵卒を演じているのが第一期の特徴でもある。

 田中秀幸

登場回 1話
役名 ジャン・ロベール・ラップ(Jean Robert Lapp)
役回り 同盟第6艦隊副官

ドカベンの山田太郎で有名になり、キン肉マンのテリーマン、SLAMDUNKの木暮及びナレーション、海外ドラマのキャプテンパワーのキャプテン・ジョナサン・パワーなど80~90年代にヒーロー役で多数の出演があり、現在もケビン・スペイシーやマイケル・ビーンなどの洋画吹き替えや、王様のブランチなどのバラエティ番組のナレーションで活躍する田中が、第一話のみ物語の重要な役どころとして出演する。ヤンは、田中の演じたラップと、その婚約者のジェシカとの友人関係を人生の最晩期まで思い続けることになった。

 矢田耕司

登場回 4話
役名 セバスティアン・フォン・ミューゼル(Sebastian von Müsel)
役回り ラインハルトとアンネローゼの父。爵位を持たない最下層の帝国貴族。

青ニプロの創立メンバーの一人で、ドラゴンボールのドクター・ゲロや、聖闘士聖矢の童虎、グレートマジンガーのナレーション、アクマイザー3のイビルなど主に中老年役や仙人などの超人間的な役回りの多い声優だった矢田が、ラインハルトの父役で1話のみ出演している。

 堀秀行

登場回 5話
役名 マクシミリアン・フォン・カストロプ(Maximillian von Kastropf)
役回り オイゲン・フォン・カストロプ公爵の嫡男。カストロプ動乱の首謀者。

タイガーマスクやキン肉マンのウォーズマン、魁・男塾の桃太郎など80~90年代に特にヒーロー的な役回りで主要な役回りを演じることの多かった堀秀行が、卑劣な動乱の首謀者として1話完結の主役的な役回りを見せた。カストロプ動乱の平定によってキルヒアイスは中将に昇進することになる。

 飛田展男

登場回 5話、7話等
役名 サイモン
役回り 同盟第13艦隊旗艦ヒューベリオンの艦橋下士官。

Zガンダムのカミーユや、ヘルシングの少佐、海がきこえるの拓、ちびまる子ちゃんの丸尾君、アンジェリークのリュミエール、アクエリオンのジョルジュ、東京レイヴンズの道満、ドクロちゃんのザンスなど、繊細な青年からエキセントリックな変人まで非常に多彩な演技をする飛田が、そのキャリアを積んでいる時期にチョイ役で出演した。この役どころは、同盟軍艦艇のブリッジが帝国のそれといかに違うかを表現するため、クルー同士が軽妙に会話のやり取りをするものでそれぞれ演じた役者の演じ方が分かるものだった。サイモンはその中で、常識人的な立ち位置。

 草尾毅

登場回 5話、7話等
役名 ハズキ
役回り 同盟第13艦隊旗艦ヒューベリオンの艦橋下士官。

サムライトルーパーのリョウ、SLAMDUNKの桜木花道、ドラゴンボールのトランクス、ラムネ&40のラムネス、ケロロ軍曹のドロロ、蒼天航路の夏候惇、戦国無双SPの真田幸村、アザゼルさんのサリエルなど、主にヒーロー役から二枚目半的な情けない役まで演ずる主演級の草尾も、飛田展男同様にキャリア積みの時代にチョイ役で出演した。役どころは飛田の項に記した通りで、その中でもハズキは少し軽めの役まわり。

 横尾まり

登場回 7話
役名 マグダレーナ・フォン・ヴェストパーレ(Magdalena von Westphale)男爵夫人
役回り 皇帝愛妾で、宮廷内の数少ないラインハルトの理解者

数々の洋画の吹き替え及び、ザブングルのエルチ、レイズナーのジュリア、ドラえもんのスネ夫のママ、ジャングルはいつもハレのちグゥのベル、SHIROBAKOの縦尾まりなど、妙齢で育ちの良い役どころを演ずることの多い横尾が、物語において女傑的な立場であるヴェストパーレ男爵夫人を演じた。本伝アニメでは男爵夫人は1回のみの登場だが、横尾のいかにもな演じ方が印象に残る。

 伊藤美紀

登場回 7話
役名 ※役名なし
役回り クロプシュトック事件発生前に倒れた老貴族の娘。

マリア様がみてるの祥子、ひぐらしのなく頃にの鷹野、ドラゴンボールの18号、SHUFFLEの時雨亜沙、夏目友人帳の塔子、Fateシリーズの大河など現在では多数の重要な役どころでキャスティングされることの多い伊藤美紀が、キャリアのごく初期に1話のみチョイ役で出演している。クロプシュトック侯爵が置いて行った爆弾が爆発する直前に気分の悪くなった母を気遣う娘役だが、最初の悲鳴からその気遣う声まで、今に続く伊藤美紀の変わりない声を確認することができる。

 丸山詠二

登場回 10話
役名 ジェイムズ・ソーンダイク
役回り 同盟の代議員補欠選挙にて反戦市民連合が擁立した候補者。

セーラームーンRのワイズマン、エヴァのシンジの老教師、格闘美神武龍のツァオ、ひぐらしのなく頃にの鑑識の爺様など、主に老壮年の男性や、70~80年代の特撮作品での悪役の吹き替え役を多数演じた丸山が、ここでも壮年の役を演じた。役回りとしてはヤンに自己紹介をするだけで、すぐに爆殺されてしまう悲しい役どころ。

 藤田淑子

登場回 11話
役名 シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ(Susanna von Benemünde)侯爵夫人
役回り グリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件の首謀者。

一休さん、キャッツ・アイの泪、キテレツ大百科のキテレツなど超有名な藤田が、11話で皇帝の寵愛を失って鬼気迫る夫人が事を起こす役回りをスポット的に演じた。1話だけの登場だたその話し方などは強烈に視聴者に印象を与えた。

 玉川紗己子(玉川砂記子)

登場回 13話
役名 フィーア・フォン・クラインゲルト
役回り 惑星クラインゲルトの領主貴族、クラインゲルト子爵の娘。

子役時代に初代ムーミンのオープニングをカバーして日本レコード大賞童話賞を受賞し、その後、Fの小森純子、メロウリンクのルルシー、逮捕しちゃうぞの辻本夏美、攻殻機動隊SACのタチコマ、洋画ではソフィー・マルソーの吹き替え、news every.やスーパーJチャンネル、報道特集などの報道番組でのナレーションなど数多くの実績を残す玉川も出演している。玉川は演技力を活かしてケスラーとの幼馴染時代の幼少期から幼い息子の母となるまでを演じた。

 加藤精三

登場回 13話
役名 クラインゲルト子爵
役回り 惑星クラインゲルトの領主貴族。

巨人の星の星一徹、トランスフォーマーのメガトロン、仮面ライダーBLACK RXのジャーク将軍など悪役、頑固オヤジ役などで非常に有名な加藤が、心優しい辺境惑星の領主貴族の役回りを演じた。悪役の印象が強い加藤だが実際にはこのように周囲を見守る良い者の役も多い。

 小川真司

登場回 14話
役名 ホーウッド(Hawood)
役回り 同盟第七艦隊司令官

その独特のバリトンを活かして、ダスティン・ホフマンやロバート・デニーロ、マイケル・ダグラス、バットマンでのマイケル・ケインなど洋画での主役級の役どころを吹き替え、アニメではパトレイバーの福島課長、のだめカンタービレのシュトレーゼマンなど、また14年の死の直前までディスカバリー・チャンネルの番組紹介を一手に演じていた小川も、端役ながら物の分かった司令官として出演している。

 中原茂

登場回 14話
役名 フランツ・ヴァーリモント
役回り 同盟第7艦隊技術将校の少尉。

アリオンのアリオン、ダンバインのショウ・ザマ、アクロバンチのジュン、ダンクーガの雅人、ガンダムWのトロワ・バートン、遥かなる時空の中での藤原鷹通、京騒戯画の鞍馬など好青年役を演ずることの多い中原が、1話完結の外伝的エピソードである14話で日高のり子と共に主役的立ち位置で1話のみ出演した。ヴァーリモント少尉は司令官のホーウッドから命を受けて不毛の辺境惑星の土壌を改良し民衆に農業による食糧生産開発を手助けするが、同盟の方針転換や劇発した民衆の怒りによってその思いを遂げられずに苦悩するという、いかにも中原が演じるような役どころだった。

 日高のり子

登場回 14話
役名 テレーゼ・ワグナー
役回り 同盟軍が進駐した帝国辺境惑星の有力者の娘。

売れないアイドルだった頃にタッチの浅倉南役で声優として大成功し、その後らんま1/2の天道あかね、となりのトトロのさつき、ナディアのジャン、DEATH NOTEのニア、名探偵コナンの世良、犬夜叉の桔梗など、大物の女性声優となった日高も、らんま1/2が始まった頃に1話のみ重要な役どころとして参加している。本話は日高演じるテレーゼと中原茂演じるヴァーリモントが実質的に主役だった。

 加藤修(加藤治)

登場回 14話
役名 ワグナー
役回り 同盟軍が進駐した帝国辺境惑星の平民の有力者。

80~90年代に多くの大河等ドラマでの端役出演の多い俳優で、アニメではその声質を活かして中年や老年の特に卑怯な役回りを演ずる悪役での出演の多い加藤が、腹に一物をもって同盟士官に近づく平民の有力者として出演した。本作での加藤治の声は、特に80年代のアニメで上記のような役で多数のアニメで聞くことができたものそのものだったが、最も有名な役は裏声を使って演じ続けた美味しんぼの富井だろう。

 松島みのり

登場回 14話
役名 コーネリア・ウィンザー
役回り 同盟最高評議会議員、情報交通委員長。

キャンディ・キャンディのキャンディをはじめとして、アタックNo.1の八木沢静、マジンガーZの弓さやか、ドカベンのサチ子、南の虹のルーシーのルーシー、キン肉マンのミート君、きんぎょ注意報のぎょぴちゃんなど60~90年代まで長きに渡って主要な役どころを得、現在でもONEPIECEのつる等で現役の松島も1話のみ出演している。役どころとしては、肝付兼太演ずるホアンから「どっちが陶酔してるんだか」と皮肉られるほどのアジテーション的な演説を評議会で行い、スポット的な役ながらその美声が活かされた演技となった。

 大森章督

登場回 15話
役名 トダ
役回り 同盟軍第13艦隊ヒューベリオン内の整備主任技術少佐。

さんまのまんま、特命リサーチ200X、特命係長只野仁などバラエティ番組を中心とした多くのTVでのナレーション、アニメでもアニメ作品内でのナレーターやアナウンサー役が多い大森が、本作でチョイ役で出演している。本作での役どころは、出撃前に女性整備士を口説いていたポプランを急かす上官役で、ポプランが不調を訴えて帰投後に喧嘩をするというものである。バラエティでのナレーションや、アニメでの大森の演技は甲高いエキセントリックな声が多いが、本作では劇場版パトレイバー(二作目以降)の山寺部長などで見せるような中年のすこし嫌味な男性の演技となった。

 田中信夫

登場回 19話
役名 クブルスリー(Kubersly)
役回り 同盟軍統合作戦本部長

川口浩探検シリーズや、TVチャンピオン、警察24時などの多数のドキュメント、バラエティ番組や、バロム1、アクマイザー3、チェンジマンなどの特撮番組でのナレーション、またその低い声質を活かしてヴィック・モローやバート・レイノルズなどの多数の洋画での吹き替え、アニメではガッチャマンの総裁Xや、空手バカ一代の拳などを演じた田中信夫も、1話のみの端役で出演している。役どころはアムリッツァ戦役での大敗後に、上層部が悉く引退、左遷されたのちに第一艦隊指令から統合作戦本部長へ転進した重要な役どころなのだが、出演は19話一回のみだった。本作では悪名高い古谷徹演ずるフォーク准将が自分勝手な願いを一方的に述べるところへ、田中らしい演技で正論を的確にフォークにぶつけて結果的にフォークを撃発させるという役どころとなった。

 村越伊知郎

登場回 1話・20話
役名 シュターデン(Staaden)
役回り リップシュタット連合軍司令官

イナズマン、バイオマン、ビビューンなど多数の特撮作品でのナレーションや、サザエさんのノリスケ役、多くの洋画吹き替えなどで活躍した村越も、1話と20話のみスポットで参加している。シュターデンはミッターマイヤーらの教官だったが、理屈先行で優柔不断で病弱の男として描かれ、1話ではラインハルト麾下にあって年の離れた上官を良く思わない艦隊司令を、20話では同じリップシュタット連合軍の総司令官であったメルカッツに対する敵愾心を持つ一方、共に出撃したヒルデスハイムらの突き上げに屈してしまうような情けない役どころだった。

 清川元夢

登場回 20話・22話
役名 アムスドルフ(Amsdorf)
役回り ミッターマイヤーの副官

舞台俳優でありアニメ嫌いとして知られるもガンダムのテム・レイ、ナディアのガーゴイル、エヴァの冬月、ヘルシングのウォルターなど超の付く有名な声優となっている清川も、ガイエスブルク戦役中ベイオウルフ艦内でのやり取りにてチョイ役で出演している。声質としては清川の特性が活かされているとはとても言えない役回りで、単なる頭数合わせになっている。また、アムスドルフはミッターマイヤーの副官で2期までその姿が見えるが、残念ながら声優は交代している。

 曽我部和恭

登場回 21話
役名 クリスチアン(Christian)
役回り 救国軍事会議のメンバーの一人

70~80年代にかけて破裏拳ポリマーのポリマー、ボルテスVの一平、ダイモスの京四郎、ヤットデタマンのワタル、パタリロのジャック・バルバロッサなど主役級のハンサムな役どころを演じた曽我部が、クーデターを起こした軍幹部で無辜の民衆に対して非道を行う悪役として出演した。80年代末から曽我部の俳優生命は下降期に入っており、端役や悪役が多くなっていたが本作でも同様の役どころとなった。

 冬馬由美

登場回 23話
役名 ※役名なし
役回り ヴェスターラントの領民の一人

ふしぎ遊戯の唯、ロードス島戦記のディートリット、スレイヤーズシリーズのシルフィール、ガンダムF91のセシリー、ナジカ電撃作戦の七虹香、ああっ女神さまのウルド、英國戀物語エマのエマ、DEAD OR ALIVEのレイファン、海外ドラマのチャームドのバイパーなど、行動的なものからおしとやかなものまでヒロイン的な役どころを演ずることの多い冬馬が、キャリアのごく初期に一言だけのチョイ役で出演している。ただし、本作での役は冬馬を確実に聞き分けられるようなものではなく、当時の冬馬はまじかるタルるーと君の伊代菜など少年や少女役など幼年層の役が多かったことから、ヴェスターラント領民の一人で熱核兵器を見て一言発する少女が冬馬の役と考えられる。

第二期へ続く

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