元素の一覧・その1(1~5)

      2016/04/15

ベリリウム

概要

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元素記号 / 元素番号 Be / 4
英語名 / ラテン語名 beryllium / beryllium
元素の分類 / 族 / 周期 卑金属 / 第2族 / 第2周期
相 / 色 固体 / 銀色
融点 / 沸点 1287℃ / 2469℃
発見者、発見年 ルイ・ニコラ・ヴォークラン / 1797年

性質

 ヤング率が非常に高く延展性が鈍く、強力な曲げ強さを持ち、剛性も優れている。これは極限の環境下においても安定した構造を保つことを示している。また非常に高い音伝導性を持っている。通常安定時は酸化被膜に覆われて不動態化しており、超高熱下であっても外気や水と反応しない。ただし酸化被膜を持たない単体では酸と激しく反応して容易に溶解する。またベリリウム鉱石は高い透明性と輝度を持つ。一方でベリリウムは人体の細胞組織に対して腐食性が有り、致死性の慢性疾患を引き起こすこともある。

自然界での分布状況

 ベリリウムは宇宙において非常に稀に存在する元素でホウ素と並んで存在率が小さい。恒星においては燃焼で消費されてしまうためほとんど存在できない。地球上では鉱石中において比較的良く見られ約4000ある鉱石のうち約100種類の鉱石では主成分として採取できる。そのうちベルトラン石や緑柱石といった比較的良く見られるものも存在し、発見は緑柱石のアルカリ処理で行われた。これらは基本的に凝灰岩や閃長岩などの火成岩に含まれている。またカラマツなどの一部の植物はベリリウムを蓄積することが知られている。

 生成方法と利用

 性質を利用して宇宙航空産業及び軍事産業を中心に工業利用が非常に多い。X線装置、衛星や射撃管制等に使用される鏡・窓の素材、ベリリウム鋼合金は航空機、ミサイル、宇宙船の構造材、ロケットのエンジンノズル、競技用自転車のフレームなどに使用される。また身近なところではスピーカーの振動板や、ベリリウム合金を使用した工具などに多用されている。他にも核物性を持っていることから原子炉などの実験用途でも多用されている。また鉱石としては宝石として身近な存在であり、緑柱石の状態の良いものは一般にエメラルド、アクアマリンと呼ばれる。化合物としてレッドベリル、モルガナイト、猫目石、アレキサンドライトなど多数の宝石用途がある。ただし、最近は人体への悪影響を考慮し、民生用途では使用を控えられつつあるのが現状である。

  現在実質的にベリリウムの生産はアメリカ、中国、カザフスタンの三国でのみ行われており、アメリカが8割以上のシェアを持っている。更にアメリカでもほぼ1社が自身の持つユタ州のベリリウム鉱山から独占供給している状態である。ほとんどのベリリウムは緑柱石やベルトラン石から化学処理で取り出されており、化合物から工業的に生成することはほぼ不可能と考えられている。また民生用需要が無くなりつつありベリリウムの生産量は年々減少している。

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