元素の一覧・その1(1~5)
2016/04/15
ホウ素
概要
元素記号 / 元素番号 | B / 5 |
英語名 / ラテン語名 | boron / borium |
元素の分類 / 族 / 周期 | 半金属 / 第13族 / 第2周期 |
相 / 色 | 固体 / 黒色 |
融点 / 沸点 | 2180℃ / 3650℃ |
発見者、発見年 | ゲイ・リュサックとルイ・テナール、ハンフリー・デービー / 1808年 |
性質
高融点且つ高沸点で、非常に硬いが逆に脆い固体である。単体のホウ素としては半金属元素で、炭素やケイ素と似た性質を示す。共有結合性が非常に高く、自由電子として機能する電子が少ないため、導電性はあるが導電性そのものは低いため半導体としての性質がある。不活性で、特に酸に対する耐性があり塩酸やフッ化水素酸による煮沸にも耐える。酸化すると熱膨張率が低いため高温に耐え、高強度となるため強化ガラスやセラミック、強化プラスチックなどの素材に向く。また植物にとっては必須元素であり、人間や動物にとっては食塩程度に無害であるが、逆に昆虫にとっては猛毒である。
自然界での分布状況
ベリリウムと共に宇宙で最も存在度が低い元素である。ビッグバンあるいは恒星での元素合成においてホウ素がほとんど形成されないためで、太陽系に存在するホウ素は宇宙線による核破砕や超新星爆発に起因するものと考えられている。一方、地球においては地殻構成率は低いものの、火成岩の形成や温泉、乾燥地帯の岩石風化などによって比較的濃度の高い鉱床が形成されることから、歴史的にも古代から人類に利用されてきた。地球上においてはホウ素単体では存在することができず、基本的には酸化してホウ酸やホウ酸塩、鉱石としてコールマン石やケルナイト、ウレキサイトなどの形で存在している。
生成方法と利用
上述の通り、ホウ素は化合物として鉱床を形成しているため歴史上古くから利用されてきた。多くは磁器などのうわぐすりなどに使用されてきた。磁器の表面を覆っているガラス質の透明な部分は大抵ホウ素が原因であると考えてよい。
現代では最も多い利用はガラス及びセラミックの強化剤としてである。グラスウールや繊維強化プラスチックなどの原料として用いられ、それを使用した建材や電気機器の断熱材などの構造材としても用いられる。ベリリウム同様ヤング率が大きいため音響機器でも用いられるが加工が困難なであるため大量には用いられていない。加工さえできれば本来はベリリウムより理想的な素材とされている。また半導体製品の製造ではケイ素のドーパントとして広く用いられれ、金属のプラズマエッチングにも用いられる。高硬度であることを利用して研磨剤や、軍事用として戦車やボディアーマーの構造材、さらに原子力発電所の中性子線吸収剤、遮蔽剤、制御棒として利用される。また一般生活においてはホウ素が昆虫に対して毒性を持つことから有害昆虫に対しての除虫剤としてホウ酸団子は古くから利用されてきた。
ホウ酸やホウ酸塩は鉱床から得る。通常ホウ素は化合物としての利用が一般的の為、単体ホウ素に戻したりせずそのまま使用されることが多い。世界最大の鉱床はトルコにあると考えられており世界の5割近くを産出している。それ以外の主な産出国はアメリカ、中国であるが中国のものは含有量が低い。半導体製造などに用いられるホウ素単体は、一度ジボランに化合したものを高温処理の上分解処理して生産する。
ホウ素は建材などの構造材需要が伸びており、将来長期的に需要が伸びていく素材と考えられている。